『みんなの優しさが素直に身にしみた。
でもねお母さん 過ごしやすい場所が欲しいわけじゃないの
これから先どう生きていくか
そんなことを考えていたの

今の私は ただみんなの世話になるばかり
足がふらつく
言葉がうまく話せない
それでも、自分の体だから自分があきらめちゃいけないんだ
18歳
私にだって私なりの未来はあるはず』


「どうして人間は、歩くのかな
人が人らし物を考えられるのは
もしかしたら歩いている時なのかも
だって、恋人同士も歩きながら将来のこと語り合うでしょ?」と
ゆっくり話す亜也
遥斗は、何も答えられなかった。

亜也は、トイレに行こうと一人で立ち、車椅子に乗ろうとするが
滑ってしまい横に倒れたまま動けなかった。
そこに遥斗が来る。

「来ないで・・」
「大丈夫か?」
「来ないで・・!」
亜也の足元には、水溜りができていた。
トイレに間に合わなかったのだ。
「なんで・・」悔し涙を流す亜也
そこに潮香と亜湖が病室にくる。
亜也の状況を察して、遥斗を病室から出す。

亜也は、ゆっくりと話す。
「眠れなくって・・
目閉じるのが怖くて・・
家に電話かけたの
なんどもしたの
お母さんの声が聞きたかったから
でも、うまく押せなくって
助けて・・お母さん
なくなっちゃうよ・・あたしにできること
一つもなくなっちゃうよ」
亜也は、泣き出す。

瑞生は、亜也が遥斗に連絡しなくてよかったのかと
心配していた。
亜也は、きっと授業があるからといっていたが

「よくねえよ」と遥斗が姿を見せる
「おいてけぼりにするな 行くっていっただろ」と遥斗
「ほんとに・・着てきたんだ タキシード」

「兄貴から借りたんだよ」
「似合って・・ないよ」
「うるせーよ」といつもの2人。

瑞生は、そんな遥斗の姿にオレと差をつける気かと
やきもちを焼く。

まどかが投げたブーケが亜也のひざの上に落ちた。
ブーケは、亜也が受け取った。
亜也は、うれしそうだった。

潮香と瑞生は、車を回してくるからと
その間、亜也と遥斗は2人きりになった。

「素敵だったな 花がいっぱいで」
「そうだな」
「麻生くん、これ」
亜也から手紙が渡される

「なに?」
「ラブレター」
「あ、そう」と少し照れて受け取る遥斗だったが
亜也の顔からは笑みが消えていた。

麻生くんへ
『面と向っては素直に言えなそうだから手紙を書きます。
いつもそばにいてくれてありがとう。
励ましてくれてありがとう。
自分の夢をみつけて 生き生きと輝いている麻生くんを見ていると
私もうれしくなります。
いろんなことを学んで いろんな人と出会って
あなたは、これからもずっと生きていく。
あなたの未来は 無限に広がっている。
でも、私は違います。
私に残された未来は、なんとかして生きる。
それだけ たったそのことだけ。
この差はどうしようもありません。
毎日自分と闘っています。
悩んで 苦しんで その気持ちを押さえ込むので精一杯です
正直にいいます。
麻生くんといると辛いです。
あんなこともしたい。
こんなこともしたい。
もしも健康だったらできるのにと
思ってしまうんです。
麻生くんといると 叶わない大きな夢を描いてしまうんです。
もちろん 麻生くんのせいじゃありません。
でもうらやましくて
情けなくて
どうしても、今の自分が惨めになってしまうんです。
そんなんじゃ前をむいて生きていけないから
いろいろしてくれてありがとう。

こんなあたしのこと好きっていってくれて
ありがとう。
何も返せなくてごめんなさい。
もう会えません。』

『過去を思い出すと涙ができて困る』

『現実があまりにも残酷で
厳しすぎて
夢さえ与えてくれない
将来を想像すると
また別のなみだが流れる』

「わたしはどこへ行けばいい?
何も答えてくれないけど
書けば気持ちだけでも晴れてくる
求めているんだよ
救いの手を
だけど届かないし
逢えもしない 
ただ暗闇に向かって 
吠えるわたしの声が響くだけ」
~1リットルの涙より~
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